2025年、長年続いた「黒潮の大蛇行」が終息に向かい、イワシやアジ、サバなどの漁獲量回復が期待されています。
しかし、この絶好の機会を活かすには、漁船、特に操舵の要である「舵(かじ)」が万全な状態であることが不可欠です。
巻き網漁船のように急旋回を多用する船では、舵への負荷は想像以上。
万一のトラブルは、漁獲機会の損失だけでなく、重大な事故にも繋がりかねません。
本記事では、当社の「巻き網漁船の舵板緊急修理」の事例をストーリー形式で紹介しつつ、記事後半では黒潮終息という新たな局面でいかに船舶の安定稼働が重要か、そして当社独自の「オーダーメイド精密修理」と「迅速な現場対応」がお客様のビジネスをどう支えるかを、分かりやすく解説します。
損傷した舵板の接合フランジ。
それは、当社の既存設備では到底アクセスできない、船体の下部に位置していました。
まさに「通常の工作機械では対応できない“現場特有の難しさ”」そのもの。
巨大で重量のある舵板を、どうやって安全に、そして精密に修理するのか?
当社の経験豊富な技術者でさえ、頭を抱えるほどの難題でした。
しかし、「不可能」の三文字は、当社の辞書にはありません。
工場、営業をはじめとする各専門分野の技術者たちが、部門の垣根を越えて集結。
皆で知恵を出し合い、この難題に立ち向かうための最適なプランを最速で練り上げました。
まず、私たちは「作業環境を一から設計」することから始めました。
損傷箇所は、既存設備では加工困難な場所。
ならば、そこに専用の「手術台」を作り上げればいい。
舵板の巨大さと重量を考慮し安全を確保しながら、技術者が最も効率的に加工作業を行えるよう、ミリ単位で計算された専用作業台を組み上げました。
それは、まさにこの修理のためだけに作られた、オーダーメイドのオペレーションルームでした。
舵板を確実に固定し、安全に作業できる環境を確保する。
これが、この難手術成功への第一歩でした。
次に立ちはだかったのが、舵柄と舵板の接続フランジに設けられた8つのボルト穴の再生です。
ここが正確でなければ、舵は本来の性能を発揮できません。
私たちは、日頃、出張作業でその精密加工技術を発揮している「ポータブル型ラインボーリングマシン」を投入。
1ラインずつ、熟練の技術者が神経を集中させ、寸分の狂いもなく丁寧にボーリング加工を施しました。
(以下、加工作業の様子)
さらに、ここで私たちは常識を覆す一手に出ます。
通常、舵板のような大型部品は横倒しにして加工するのが一般的です。
しかし、それでは作業効率が上がらず、納期に間に合わない可能性がありました。
そこで技術者が出した結論は、「舵板を立てて固定する」という大胆な発想。
これにより、左右のボルト穴を2台のボーリングマシンを使用し並行して加工することが可能となり、修理時間を大幅に短縮することに成功したのです。
この「発想の柔軟な転換力」こそ、当社の真骨頂と言えるでしょう。
そして、最終関門は「高精度組立・調整」。
ボーリング作業でわずかに拡大させたボルト穴の実寸データに基づき、8本のリーマーボルトを一本一本、精密に加工。
そして、寸分の狂いもなく、接合フランジを合体させます。
この工程で求められる精度は、0.01mm以下。
技術者の指先が、まるで外科医のように繊細かつ正確にボルトを導き、締め上げていきます。
息をのむような緊張感の中、全てのボルトが完璧に締結された瞬間、そこにいた誰もが確かな手応えを感じました。
船の「心臓部」が、再び力強く脈打ち始めた瞬間でした。
ドック入り期間が限定され、一刻の猶予も許されない中、私たちはこの一連の困難な作業を、驚異的なスピードで完了させました。
それは、個々の高い技術力はもとより、お客様の窮状を我がことと捉え、納期という絶対的な制約の中で最善を尽くそうという、全社一丸となった「使命感」の賜物です。
修理を終え、力強いエンジン音と共に港を後にする漁船。
その姿は、まるで復活を遂げた不死鳥のようでした。
その舵は今、豊かな漁場を、そして日本中の食卓へと真っ直ぐに向かっています。
この光景こそ、私たち技術者にとって最高の喜びであり誇りです。
「黒潮の大蛇行」は、日本の南岸を流れる黒潮が大きく蛇行する現象で、近海魚の回遊ルートに影響し近年の不漁の一因とされてきました。
2025年、この大蛇行の終息予測は、漁業関係者にとって大きな希望となっています。
特にイワシ、アジ、サバなど大衆魚の漁獲量回復が見込まれ、市場の活性化も期待されます。
舵は船の進行方向を制御する最重要装置です。
などが主要部品です。
このフランジに不具合が生じれば、操縦不能という危険な事態に陥ります。
「黒潮の大蛇行」の好機を捉える巻き網漁は、魚群を効率的に囲むため急旋回を繰り返します。
これにより舵には以下のような大きな負荷がかかります。
これらの要因で、巻き網漁船の舵、特に舵柄と舵板を繋ぐ「接続フランジ」などには、金属疲労や摩耗、変形といった損傷が発生しやすくなります。
今回は「操舵時に異音と舵の効きの悪化。
漁期を逃したくないので最短で修理を」という切実なご依頼が、太平洋沿岸の巻き網漁船からありました。
診断の結果、接続フランジのボルト緩み、ボルトの欠損、ボルト穴の摩耗が判明。
放置すれば舵が脱落しかねない危険な状態でした。
通常、長期間を要する修理作業でしたが、今回は以下の理由から工程を最大限に短縮しました。
この結果、漁船の稼働停止期間を最小限に抑え、漁獲機会の損失を最小限に留めることができました。
この対応により、お客様だけでなく、地域の漁業経済全体、そして水揚げされた魚が食卓に届くまでの流通全体に貢献できたと確信しています。
当社は、単なる部品交換に留まらず、お客様の状況に合わせた「オーダーメイドの解決策」を迅速に提供します。
ご依頼と同時に社内各部門が連携。
豊富な経験から損傷状況を正確に診断し、最短の修理計画を立案。
お客様のドック入りに合わせ、部品手配や工作機械の準備を並行して進め、漁船のダウンタイムを最小限に抑えます。
当社のオーダーメイド製作事例(一部抜粋)
海上自衛隊 US-2救難飛行艇を支える 堀口エンジニアリングの技! US-2用エンジン整備用作業台の製作
墜落防止・転落防止の安全対策 安全設備装置「墜落防止システム」の製作事例
「他社では時間がかかると言われた修理を、堀口さんは驚くほど迅速かつ丁寧に対応してくれた。おかげで漁期を逃さずに済んだ。修理後の舵の調子も抜群だ。」(巻き網漁船 船主様)
「船のことを本当に分かっている技術者集団。こちらの細かい要望にも応えてくれ、安心して任せられた。修理後の操船が格段に楽になった。」(同)
当社の技術者は「船の心臓部を再生する」という高いプロ意識と情熱で仕事に取り組んでいます。
船舶修理を通じて、お客様のビジネス、そして日本の水産業と食文化を支える社会的使命を担っていると自負しています。
黒潮大蛇行終息は漁業にとって大きなチャンス。
この好機を活かすには、漁船のベストコンディション維持、特に「舵」の健全性が不可欠です。
以下のようなお悩みはありませんか?
どんな些細なことでも構いません。
ぜひ当社にご相談ください。
専門技術者がお客様の船の状態を的確に診断し、豊富な経験とオーダーメイドで最善の解決策をご提案します。
緊急修理はもちろん、定期メンテナンスや予防保全もお任せください。
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