プロジェクト事例

巻き網漁船の舵板トラブル即解決!潮流変化~大漁の好機を逃さない緊急修理事例

作成者: 堀口エンジニアリング編集部|2025.08.18

2025年、長年続いた「黒潮の大蛇行」が終息に向かい、イワシやアジ、サバなどの漁獲量回復が期待されています。 

しかし、この絶好の機会を活かすには、漁船、特に操舵の要である「舵(かじ)」が万全な状態であることが不可欠です。 
巻き網漁船のように急旋回を多用する船では、舵への負荷は想像以上。 

万一のトラブルは、漁獲機会の損失だけでなく、重大な事故にも繋がりかねません。 

本記事では、当社の「巻き網漁船の舵板緊急修理」の事例をストーリー形式で紹介しつつ、記事後半では黒潮終息という新たな局面でいかに船舶の安定稼働が重要か、そして当社独自の「オーダーメイド精密修理」と「迅速な現場対応」がお客様のビジネスをどう支えるかを、分かりやすく解説します。 

前例なき舵修理ストーリー:熟練技術者チームが挑んだ技術的難関への挑戦の記録 

損傷した舵板の接合フランジ。 
それは、当社の既存設備では到底アクセスできない、船体の下部に位置していました。

まさに「通常の工作機械では対応できない“現場特有の難しさ”」そのもの。 
巨大で重量のある舵板を、どうやって安全に、そして精密に修理するのか? 

当社の経験豊富な技術者でさえ、頭を抱えるほどの難題でした。 

しかし、「不可能」の三文字は、当社の辞書にはありません。 
工場、営業をはじめとする各専門分野の技術者たちが、部門の垣根を越えて集結。 

皆で知恵を出し合い、この難題に立ち向かうための最適なプランを最速で練り上げました。 

【独自技術】現場発想の転換!特設「オーダーメイド手術台」で舵修理に光明 

まず、私たちは「作業環境を一から設計」することから始めました。 

損傷箇所は、既存設備では加工困難な場所。 
ならば、そこに専用の「手術台」を作り上げればいい。 

舵板の巨大さと重量を考慮し安全を確保しながら、技術者が最も効率的に加工作業を行えるよう、ミリ単位で計算された専用作業台を組み上げました。 
それは、まさにこの修理のためだけに作られた、オーダーメイドのオペレーションルームでした。 

舵板を確実に固定し、安全に作業できる環境を確保する。 
これが、この難手術成功への第一歩でした。 

【独自技術②】0.01mm精度への執念!常識を覆す「立位ボーリング加工」で納期短縮 

次に立ちはだかったのが、舵柄と舵板の接続フランジに設けられた8つのボルト穴の再生です。 
ここが正確でなければ、舵は本来の性能を発揮できません。 

私たちは、日頃、出張作業でその精密加工技術を発揮している「ポータブル型ラインボーリングマシン」を投入。 
1ラインずつ、熟練の技術者が神経を集中させ、寸分の狂いもなく丁寧にボーリング加工を施しました。 
(以下、加工作業の様子)

さらに、ここで私たちは常識を覆す一手に出ます。 
通常、舵板のような大型部品は横倒しにして加工するのが一般的です。 

しかし、それでは作業効率が上がらず、納期に間に合わない可能性がありました。 
そこで技術者が出した結論は、「舵板を立てて固定する」という大胆な発想。 

これにより、左右のボルト穴を2台のボーリングマシンを使用し並行して加工することが可能となり、修理時間を大幅に短縮することに成功したのです。 

この「発想の柔軟な転換力」こそ、当社の真骨頂と言えるでしょう。 

【職人技】魂を込めた最終調整!0.01mm以下の高精度組立で舵の完全復活へ 

そして、最終関門は「高精度組立・調整」。 
ボーリング作業でわずかに拡大させたボルト穴の実寸データに基づき、8本のリーマーボルトを一本一本、精密に加工。 

そして、寸分の狂いもなく、接合フランジを合体させます。 
この工程で求められる精度は、0.01mm以下。 

技術者の指先が、まるで外科医のように繊細かつ正確にボルトを導き、締め上げていきます。 
息をのむような緊張感の中、全てのボルトが完璧に締結された瞬間、そこにいた誰もが確かな手応えを感じました。 

船の「心臓部」が、再び力強く脈打ち始めた瞬間でした。 

【修理完了】力強いエンジン音と共に港を後にする漁船! 

ドック入り期間が限定され、一刻の猶予も許されない中、私たちはこの一連の困難な作業を、驚異的なスピードで完了させました。 

それは、個々の高い技術力はもとより、お客様の窮状を我がことと捉え、納期という絶対的な制約の中で最善を尽くそうという、全社一丸となった「使命感」の賜物です。 

修理を終え、力強いエンジン音と共に港を後にする漁船。 
その姿は、まるで復活を遂げた不死鳥のようでした。 

その舵は今、豊かな漁場を、そして日本中の食卓へと真っ直ぐに向かっています。 
この光景こそ、私たち技術者にとって最高の喜びであり誇りです。 

そもそも黒潮大蛇行終息の恩恵とは? 

「黒潮の大蛇行」は、日本の南岸を流れる黒潮が大きく蛇行する現象で、近海魚の回遊ルートに影響し近年の不漁の一因とされてきました。 

2025年、この大蛇行の終息予測は、漁業関係者にとって大きな希望となっています。 
特にイワシ、アジ、サバなど大衆魚の漁獲量回復が見込まれ、市場の活性化も期待されます。 

なぜ舵は生命線か?見過ごせない漁船の故障リスクとトラブル事例の詳細 

舵は船の進行方向を制御する最重要装置です。 

  • 水中で揚力を生む「舵板」 
  • 舵板を船体に固定し力を伝える「舵柄」 
  • 両者を強固に繋ぐ「接続フランジ」 

などが主要部品です。 

このフランジに不具合が生じれば、操縦不能という危険な事態に陥ります。 

巻き網漁船の舵への過酷な負荷 

「黒潮の大蛇行」の好機を捉える巻き網漁は、魚群を効率的に囲むため急旋回を繰り返します。 

これにより舵には以下のような大きな負荷がかかります。 

  • 繰り返される急旋回: 舵の軸や舵板、接続フランジに強い力が断続的に加わります。 
  • 網の張力による偏荷重: 揚網時、船体の一方向に大きな力がかかり、舵が船体バランスを保つため酷使されます。 
  • 低速時の頻繁な操舵: 魚群探索や網入れ時、舵の効きが悪い低速域で大きな舵角や頻繁な操作が必要となります。 

これらの要因で、巻き網漁船の舵、特に舵柄と舵板を繋ぐ「接続フランジ」などには、金属疲労や摩耗、変形といった損傷が発生しやすくなります。 

舵の故障が招く深刻な事態 

  • 航行不能・漂流リスク 
  • 漁獲機会の完全な損失と経営悪化 
  • 莫大な修理費用と休業損失 
  • 座礁や転覆など重大海難事故の危険 

「舵」のトラブル事例の振り返り:巻き網漁船からのSOS 

今回は「操舵時に異音と舵の効きの悪化。
漁期を逃したくないので最短で修理を」という切実なご依頼が、太平洋沿岸の巻き網漁船からありました。 

診断の結果、接続フランジのボルト緩み、ボルトの欠損、ボルト穴の摩耗が判明。 
放置すれば舵が脱落しかねない危険な状態でした。 

今回の「漁船の舵」の修理ステップの要点ポイント 

Step1: 作業環境の設計 

  1. 既存設備では加工困難な箇所に損傷 
  2. 専用作業台を製作・設置 
  3. 安全かつ効率的な作業環境を構築 

Step2: ボルト穴の精密加工 

  1. 2台のポータブル型工作機で8つのボルト穴をボーリング加工 
  2. 舵板を立てて固定し、左右の穴を並行加工 
  3. 修理時間短縮 
  4. ポータブル型ラインボーリングマシンが工場内作業で活躍 

Step3: 高精度組立・調整 

  1. ボーリング後のボルト穴の実寸データを基にリーマーボルトを精密加工 
  2. 接合フランジを合体 
  3. 0.01mm以下の精度で調整 

事例の総括 

通常、長期間を要する修理作業でしたが、今回は以下の理由から工程を最大限に短縮しました。 

  • ドック入り期間が限られていたこと 
  • 漁業の特性上、機会損失を最小限に抑える必要があったこと 
  • 工場内の各部署が連携し、工程を徹底的に見直し、実行可能だと判断できたこと 

この結果、漁船の稼働停止期間を最小限に抑え、漁獲機会の損失を最小限に留めることができました。 

この対応により、お客様だけでなく、地域の漁業経済全体、そして水揚げされた魚が食卓に届くまでの流通全体に貢献できたと確信しています。  

堀口エンジニアリングの強み:緊急舵修理・迅速対応とオーダーメイド精密加工 

当社は、単なる部品交換に留まらず、お客様の状況に合わせた「オーダーメイドの解決策」を迅速に提供します。 

迅速な連携と的確な診断によるダウンタイム最小化 

ご依頼と同時に社内各部門が連携。 
豊富な経験から損傷状況を正確に診断し、最短の修理計画を立案。 

お客様のドック入りに合わせ、部品手配や工作機械の準備を並行して進め、漁船のダウンタイムを最小限に抑えます。 

オーダーメイドの舵修理プロセス:専門技術の粋 

  1. 徹底した損傷診断と修理計画: 非破壊検査(浸透探傷、磁気探傷等)で目に見えない欠陥も把握。科学的データに基づき最適な修理計画をお客様にご説明し、合意の上で作業を開始します。 
  2. 専用作業環境の構築: 巨大で重量のある舵板を安全かつ高精度に加工するため、専用の作業台を設計・製作。作業効率と安全性を最大限に高めます。 
  3. ポータブル精密ボーリング加工: 摩耗したボルト穴を、現場で高精度に修正・拡大加工できる「ポータブル型ラインボーリングマシン」を駆使。熟練技術者によるμm単位の芯出しと加工で、新品同様の精度を復元します。状況に応じ複数台同時加工で時間短縮も実現。
  4. 0.01mm単位の高精度組立・調整: 修正した穴に合わせ、専用のリーマーボルトを精密製作。光明丹合わせでフランジ接合面の密着性を確認後、厳密なトルク管理のもとでボルトを締結。この妥協なき精度追求が、舵の長期的な信頼性を保証します。 

他社で断られた修理も対応可能:堀口エンジニアリングの強み 

  • 一品一様のオーダーメイド修理: お客様の船と状況に最適な解決策を提案。
  • 困難への挑戦と応用技術力: 既存設備で対応不可でも、知恵と工夫で道を拓きます。 
  • 豊富な実績と独自ノウハウ: 多種多様な船舶修理で培った経験が迅速・的確な判断を可能に。 
  • 最新技術と熟練の技の融合: 高度な設備とそれを使いこなす職人技が強みです。 

当社のオーダーメイド製作事例(一部抜粋) 

海上自衛隊 US-2救難飛行艇を支える 堀口エンジニアリングの技! US-2用エンジン整備用作業台の製作 

墜落防止・転落防止の安全対策 安全設備装置「墜落防止システム」の製作事例 

当社最大の航空機地上支援器材(GSE)「尾翼整備作業台」 

「この船の修理を任せたい」お客様の声と私たちの使命 

お客様からの信頼の声(抜粋) 

「他社では時間がかかると言われた修理を、堀口さんは驚くほど迅速かつ丁寧に対応してくれた。おかげで漁期を逃さずに済んだ。修理後の舵の調子も抜群だ。」(巻き網漁船 船主様)
「船のことを本当に分かっている技術者集団。こちらの細かい要望にも応えてくれ、安心して任せられた。修理後の操船が格段に楽になった。」(同) 

技術者の情熱と社会的貢献 

当社の技術者は「船の心臓部を再生する」という高いプロ意識と情熱で仕事に取り組んでいます。 

船舶修理を通じて、お客様のビジネス、そして日本の水産業と食文化を支える社会的使命を担っていると自負しています。 

舵の不安は堀口エンジニアリングへ:漁業の安定操業と漁獲最大化をサポート 

黒潮大蛇行終息は漁業にとって大きなチャンス。 
この好機を活かすには、漁船のベストコンディション維持、特に「舵」の健全性が不可欠です。 

以下のようなお悩みはありませんか? 

  • 舵の効きが悪い、異音がする 
  • フランジボルトに緩みや錆がある 
  • 他社で修理を断られた 
  • 漁期が迫っており、とにかく早く確実に修理したい 

どんな些細なことでも構いません。 
ぜひ当社にご相談ください。 

専門技術者がお客様の船の状態を的確に診断し、豊富な経験とオーダーメイドで最善の解決策をご提案します。 
緊急修理はもちろん、定期メンテナンスや予防保全もお任せください。 

日本全国対応エリア拡大中です! 

【関西・中国・四国の製造業様必見】堀口エンジニアリングがプラント/機械メンテで西日本拠点開設プロジェクトを始動!現地対応で課題解決 

【千葉県東金市に新拠点】大型/長尺機器の製造・修理を強化!新たに東金工場を稼働 

成田、第1工場が完成。さらなる品質追求をいたします。 

お見積もり・ご相談は無料です。お気軽にお問い合わせください。 

お問い合わせフォーム 堀口エンジニアリング株式会社