2025.12.09

屋外貯蔵所の新設工事の施工事例:消防法・費用・業者選定の課題をワンストップで解決

屋外貯蔵所

「危険物の保管場所が足りず、生産計画に支障が出そうだ」
「消防法を遵守した安全な貯蔵所を新設したいが、何から手をつければいいかわからない」
「屋外貯蔵所の工事を依頼したいが、信頼できる専門業者の見つけ方がわからない」

工場経営者様や設備担当者様の中には、このような切実な課題をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

屋外貯蔵所の新設は、単なる建設工事ではありません。

消防法という複雑な法律が絡み、設計から申請、施工、そして運用まで、高度な専門知識と経験が求められます。

安易に業者を選んでしまうと、「許可が下りない」「追加費用が発生した」といった失敗に繋がりかねません。

この記事では、当社が施工したA化学工場様の屋外貯蔵所新設事例をもとに、プロジェクト成功の鍵となる以下のポイントを徹底解説します。(会社名記載不可のため仮名にて記載しております。)

  • 屋外貯蔵所新設工事の事例の紹介
  • 屋外貯蔵所の基本と法律上の難しさ

この記事を最後までお読みいただくことで、屋外貯蔵所新設プロジェクトを成功に導くための具体的なロードマップと、信頼できるパートナーを見極める確かな目が手に入ります。

【屋外貯蔵所新設工事の事例の紹介:】潜在ニーズの発見からワンストップで課題を解決

冒頭で触れたA化学様(会社名記載不可のため仮名にて記載しております。)の事例をご紹介します。

【課題】逼迫する保管スペース

生産量の増加に伴い、A化学様の危険物保管スペースは逼迫し、早急な保管場所の確保が求められる状況となっていました。

【提案】別工事の会話から始まった、潜在ニーズの掘り起こし

きっかけは、2024年11月に別件のノズル溶接補修工事で当社が現場を訪れた際の、何気ない立ち話でした。

当社の事業内容をご紹介していたところ、担当者様から「そういえば、貯蔵所の建設も堀口さんにお願いできるんですか?」とお声がけいただき、思いがけずご相談を頂戴したことが始まりでした。

私たちは、単なる工事の相談としてではなく、お客様の事業運営における根本的な課題として捉えました。

そして、当社の持つ専門知識と協力会社様のネットワークを駆使すれば、設計から申請、施工までをワンストップでサポートできるとご提案しました。

当社にとっても初めての挑戦でしたが、お客様の課題解決への強い想いがプロジェクトを始動させたのです。

屋外貯蔵所新設工事の写真(時系列)

①位置取り

屋外貯蔵所は、建築物や道路との保安距離を守り、他の危険物施設との間隔を確保することが重要です。消防活動のしやすさや周囲環境への影響を考慮し、保安距離・保有空地に関する法令・条例を遵守して位置を決めます。

2025-07-11位置取り (1)

②地盤改良

地盤改良では、地面の掘削、セメント練り混ぜ、埋め戻しを行いますが、土埃が激しいほか、悪天候による予定変更などがありました。

2025-07-23地盤改良

③分離槽位置決め

屋外貯蔵所は、排水溝及び油分離装置を設ける等、漏れた危険物が他の場所へ流出しない措置 を講じることを法令で定められているため、遵守して位置を決めます。

 

2025-08-05分離槽位置決め

④生コン打設

コンクリート打設後は大人数でならし、複数日に渡って散水を行うことで、炎天下ですぐに乾いてしまう環境の中でも綺麗な見た目に仕上げました。

2025-08-26生コン打設
⑥完成

 屋外貯蔵所は、さく等を設けて明確に区画することや、見やすい箇所に屋外貯蔵所である旨を記載した標識・掲示板を設けることが法令で定められています。

屋外貯蔵所完成

この事例には、屋外貯蔵所新設の典型的な課題と、その解決のヒントが詰まっています。

【解決】透明性の高いプロジェクト推進

丁寧な見積もりプロセス

当社は、純粋な土木工事の費用感には詳しくありませんでした。

そこで、協力会社様から提出された見積もりを、材料費、人件費、重機レンタル費、諸経費といった各項目項目毎にチェック。

協力会社様から頂いた見積内容を十分に理解し、お客様に明確な根拠(作業範囲等を丁寧に細かく記載)とともにお示しすることで、ご納得いただけるコストでの契約を実現しました。

夏季の工事(7月〜8月)ということもあり、天候不順も懸念されましたが、余裕を持たせた工程管理により、無事、工期内に高品質な屋外貯蔵所をお引き渡しすることができました。

屋外貯蔵所完成 (2)

屋外貯蔵所新設における5つのハードル:屋外貯蔵所新設の最大の難関とは?

屋外貯蔵所の新設が「簡単ではない」と言われるのには、明確な理由が存在します。

ここでは、多くの企業が直面する5つのハードルについて、具体的に解説します。

①:【法律】消防法に基づく複雑で厳格な構造基準

消防法では、火災予防と万が一の被害拡大防止のため、構造に関する厳しい基準を定めています。

これらは単なる推奨ではなく、遵守必須のルールです。

  • ※防液堤の設置: 貯蔵する危険物が漏洩した際に、外部へ流出するのを防ぐコンクリート製の囲いです。容量計算や材質にも規定があります。
  • 勾配と排水設備:床面には水が溜まらないよう勾配をつけ、万が一漏れた液体を安全に回収するための集水マスや油水分離槽の設置が求められます。
  • 適切な舗装:地面はアスファルトやコンクリートで舗装し、危険物が地下へ浸透するのを防がなくてはなりません。
  • 転倒防止措置:容器を固定するための架台や鎖など、地震や強風に備えた措置が必要です。
  • 標識・掲示板:「火気厳禁」といった標識や、貯蔵品目・最大数量などを記した掲示板の設置が義務付けられています。

これらの基準は、貯蔵する危険物の種類や数量によっても細かく変わるため、専門家による正確な設計が不可欠となるのです。

※防液堤というと壁で漏れた液体を抑えるイメージがありますが、今回の事例では、漏れた液体を排水溝に誘導して抑えるイメージです。

②:【場所】設置場所を縛る「保安距離」と「保有空地」

「空いている土地ならどこでも良い」というわけにはいきません。

消防法では、周囲の施設や敷地境界線からの安全を確保するため、以下の空間確保を義務付けています。

  • 保安距離: 学校、病院、重要文化財など、特に保安が必要な対象物との間に確保すべき「一定の距離」。
  • 保有空地: 貯蔵所の周囲に確保すべき「空地(スペース)」。延焼防止や消防活動のスペースとして機能します。

これらの規制により、特に敷地に余裕がない工場では、設置可能な場所がピンポイントに限られてしまうケースが少なくありません。

③:【申請】自治体ごとに存在する「ローカルルール」

新設には、所轄の消防本部(消防署)への許可申請が必須です。

この申請プロセスが、実は大きなハードル。

全国一律の法律に加え、自治体ごとに条例や指導方針といった「ローカルルール」が存在するためです。

設計段階から消防署との綿密な事前協議を重ね、認識をすり合わせることが極めて重要になります。

「図面を提出したら『この解釈では許可できない』と差し戻された」という事態を避けるには、その地域での申請経験が豊富な業者様のサポートが欠かせません。

④:【業者】専門知識がなければ「屋外貯蔵所は作れない」という現実

上記の通り、屋外貯蔵所は特殊な施設です。

そのため、一般的な外構工事業者や土木工事業者では対応が困難な場合があります。

危険物規制に関する知識がなければ、知らず知らずのうちに基準を満たさない施工をしてしまうリスクがあります。

例えば、防液堤に使用するコンクリート一つとっても、求められる耐薬品性や水密性を理解していなければなりません。

結果として、完了検査で不合格となり、手直しで多額の追加費用と工期が発生する恐れがあります。

⑤:【検査・運用】完成後の「完了検査」と継続的な管理

建物が完成しても、すぐに使用できるわけではありません。

消防職員による「完了検査」を受け、申請通りの構造・設備が整っているかチェックを受けます。

この検査に合格して初めて、危険物の貯蔵が可能になるのです。

さらに運用開始後も、日常的な点検記録や定期的なメンテナンス、従業員への教育訓練といった継続的な安全管理体制の構築が求められます。

よくある質問Q&A

堀口エンジニアリングのことはよく知らないのですが、どんなことが得意な会社ですか?

よく勘違いされやすいのですが、当社はただの修理屋ではありません。

「どこに頼んでも断られた」「メーカーのサポートが終了している」。

当社は、そのような企業の生産技術・保全部門ご担当者様の「最後の砦」となる技術者集団です。

航空宇宙産業で培った精密加工技術と品質管理体制を基盤に、お客様の機械・設備の価値を最大化する「テクニカル・パートナー」として、図面のない部品の復元(リバースエンジニアリング)から、生産性向上を実現する機械改造の提案まで、一貫したサービスを提供し続けています。

★当社の3つの強み

1.【復元技術】図面のない部品も「リバースエンジニアリング」で再生

「図面がない」「生産中止になった」「海外製で代替品がない」。

そんな一点物の部品でも諦める必要はありません。

現物さえあれば、材質分析・強度計算・三次元測定などを駆使して図面を復元し、同等品、あるいはそれ以上の品質で部品を蘇らせます。

対応領域: 数十年前の古い機械部品、海外製設備のパーツ、摩耗・破損した部品など

技術要素: 材質分析、強度計算、精密測定、図面作成、精密機械加工

2.【品質保証】航空宇宙・防衛分野が認めた国際認証「JIS Q 9100」

当社の品質は、世界で最も厳しい基準が求められる航空宇宙・防衛分野で認められています。

国際認証「JIS Q 9100」に裏打ちされた徹底的な品質管理体制で、お客様の重要な生産設備をサポートします。

単に修理するだけでなく、オーバーホールを通じて新品以上の性能を引き出し、より長く、より安定して稼働する未来をご提供します。

認証: 品質マネジメントシステム JIS Q 9100
提供価値: 設備の長寿命化、安定稼働、性能向上、故障リスクの低減

【航空宇宙品質の舞台裏】JIS Q 9100取得への挑戦とお客様への約束

品質マネジメントシステムの概要と当社の運用について

3.【ワンストップ解決力】設計から製造、メンテナンスまで一貫対応

構想設計から部品の精密加工、組み立て、現地での緊急修理・メンテナンスまで、すべての工程を自社で完結。

これにより、お客様の手を煩わせることなく、迅速で柔軟な対応が可能です。

メーカーや業種の垣根を越え、お客様の真の課題は何かを追求し、最適な解決策を導き出します。

対応フェーズ: 構想設計、製造、組立、修理・オーバーホール、現地メンテナンス
メリット: 迅速な納期対応、責任の明確化、コストの最適化、柔軟な仕様変更

お問い合わせフォーム | 堀口エンジニアリング株式会社

そもそも屋外貯蔵所とは?基本と法律上の定義

屋外貯蔵所とは、その名の通り屋外で危険物を保管・貯蔵するための施設です。

項目

屋外貯蔵所

屋内貯蔵所

屋根

原則として設置しない

必須

特徴

比較的、設置のハードルは低いが、保管できる危険物に制限あり

保管できる危険物の種類は多いが、建築基準法上の要件も加わり、より厳格な構造基準(壁、柱、床、梁など)が求められる

主な用途

引火点が比較的高い危険物(第二石油類、第三石油類、第四石油類など)の保管

多様な危険物の保管

重要なポイントは、安易に屋根を設けると「屋内貯蔵所」扱いとなり、求められる基準が一気に厳格になる点です。

この違いを理解することが、計画の第一歩となります。

屋外貯蔵所新設にあたって、工事業者選びの必須チェックポイントには何がありますか?

信頼できる業者様を見極めるための5つのチェックポイントをご紹介します。

業者様選定の際に、ぜひご活用ください。

  1. 危険物施設(屋外・屋内貯蔵所)の施工実績は豊富か?
    →会社のウェブサイトで施工事例を確認しましょう。化学工場など、同業種の事例があればさらに安心です。
  2. 消防協議の代行や複雑な申請書類の作成サポートは可能か?
    →設計・施工だけでなく、最も煩雑な行政手続きをお任せできるかは重要なポイントです。
  3. 設計から施工、完了検査まで一貫して対応できるか?
    →「ワンストップ対応」ができる業者様であれば、責任の所在が明確で、トラブル時の対応もスムーズです。
  4. 見積もりの内訳は明確で、質問に丁寧に答えてくれるか?
    →詳細な内訳を提示し、誠実に説明してくれる業者様を選びましょう。
  5. 完成後のアフターフォローや運用に関する相談もできるか?
    →定期的なメンテナンスや、将来の法改正に関する相談など、長く付き合えるパートナーとなりうるかを見極めることが大切です。

まとめ:屋外貯蔵所の新設は、堀口エンジニアリングにお任せください!

屋外貯蔵所の新設は、多くの法律や技術的なハードルを乗り越える必要がある、専門性の高いプロジェクトです。

しかし、信頼できる適切なパートナーを見つけることができれば、そのハードルは決して越えられないものではありません。

堀口エンジニアリングは、プラント設備工事で培った豊富な現場経験と専門知識、そして信頼できる協力会社との強固なネットワークを活かし、お客様一人ひとりの状況に合わせた最適なご提案をいたします。

「まずは何から相談すればいいのか知りたい」
「概算の費用だけでも把握したい」

どんな些細なことでも構いません。屋外貯蔵所の新設に関するお悩みやご相談がございましたら、ぜひ一度、堀口エンジニアリングまでお気軽にお問い合わせください。

お客様の事業の未来を支える、安全で最適な保管ソリューションを共に創り上げていきましょう。

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