「熱中症対策はコストがかかる…」
「ウチの工場は屋内だから大丈夫だろう」
経営者として、そうお考えではありませんか?
しかし、その認識はもはや通用しません。
2025年6月1日、改正労働安全衛生規則が施行され、事業者には罰則付きの熱中症対策が完全義務化されました。
これは、もはや努力目標ではなく、企業の存続に関わる経営課題です。
事実、厚生労働省の発表によると、職場での熱中症による死傷者(死亡・休業4日以上)は増加傾向にあり、製造業は建設業と並んで常に発生件数の上位を占めています。
従業員が一人倒れることのインパクトは、生産ラインの停止、信用の失墜、そして何よりかけがえのない命の喪失という、計り知れないリスクを伴います。
堀口エンジニアリングは、長年にわたり培ってきたエンジニアリングの知見と確かな技術力で、工場の「暑さ」という複合的な課題を解決し、「工場を安全かつ快適、そして高生産性を実現する稼げる空間」へと変革する支援を得意としています。
本記事では、労働安全衛生規則の改正による義務化の重要ポイントから、罰則や対策を怠った場合の経営リスク、実際に当社で導入して効果抜群だった工場の熱中症対策の事例までを徹底解説します。
私たちは、単に冷やすだけでなく、建屋全体から従業員の皆様の健康まで、多角的な視点からアプローチする「工場の暑さ・熱中症対策の費用対効果」を最大化する総合ソリューションをご提案します。
【罰則あり】2025年工場・職場の熱中症対策「義務化」の核心:工場で熱中症対策が必須な理由
今回の労働安全衛生規則の法改正は、これまでの努力義務とは一線を画し、事業者に対して具体的な措置を法的に義務付けるものです。
なぜなら、熱中症による死亡災害の多くで、初期症状の放置や対応の遅れが指摘されているからです。
労働安全衛生規則の法改正で義務付けられた2つの核心的措置
事業者は、主に以下の2つの体制を整備し、全従業員に周知徹底する義務を負います。
- 報告体制の整備・周知: 従業員が自身の、あるいは同僚の体調異変を認めた際、ためらわずに速やかに管理監督者へ報告できる明確なルールと連絡網を整備・周知する義務。
- 悪化防止措置の準備・周知: 報告を受けた際、救急隊が到着するまでの間に症状の悪化を防ぐための具体的な手順(涼しい場所への避難、身体の冷却、医療機関への搬送判断など)を定め、関係者がいつでも実行できるよう周知・訓練する義務。
これらの義務を怠り、労働災害が発生した場合、「6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金」が科される可能性があります。
必ず理解すべき「暑さ指数(WBGT)」
WBGT(湿球黒球温度)とは、気温だけでなく湿度、日射・輻射熱を考慮した、より実態に近い熱ストレスの指標です。
WBGT値が28℃を超えると熱中症患者が急増するというデータもあり、環境省や厚生労働省はこの指標を用いた管理を強く推奨しています。
事業者は、JIS規格(JIS B 7922)に適合したWBGT測定器を設置し、作業環境を客観的に把握・管理することが求められます。
義務化の対象となる「危険な作業環境」とは:WBGT値に要注意
特に注意が必要なのは、以下の環境下で作業を行う工場です。
- 暑さ指数(WBGT値)が28℃以上、または気温が31℃以上の環境
- 上記環境下で、連続1時間以上または1日4時間超の作業が見込まれる場合
「ウチは屋内だから」という油断は禁物です。
金属加工や食品加工工場のように、機械からの排熱や蒸気で、屋外よりはるかに高温多湿になる現場は数多く存在します。
「工場・職場の熱中症対策を怠る」という最大のリスク
熱中症対策を単なるコストと捉えることは、極めて危険な経営判断と言わざるを得ません。
そのリスクは、罰金だけにとどまりません。
- 人材の流出と採用難:「従業員の安全を守らない企業」という評判は、瞬く間に広がります。結果として、優秀な人材はより良い労働環境を求めて離職し、新たな人材の採用も困難になるでしょう。
- 巨額の損害賠償リスク: 万が一、熱中症で死亡災害や重篤な後遺症が発生した場合、企業の安全配慮義務違反が問われ、数千万円にのぼる損害賠償を命じられた判例も存在します。
- 「見えざるコスト」の発生: 労災対応にかかる人件費、代替要員の確保、行政への報告、企業イメージの回復にかかる費用など、目に見えないコストは雪だるま式に膨らんでいきます。
これらのリスクは、適切な設備投資や対策費用をはるかに上回る可能性があります。
工場の特性に合わせたおすすめの熱中症対策の主要商材・事例・製品特性一覧:抜本的な暑さ・暑熱対策に効果抜群
工場の熱中症対策は、画一的な方法では効果が薄い場合があります。
- 「広さ」
- 「天井の高さ」
- 「熱源の有無」
- 「粉塵の多さ」
など、自社の状況に合わせて最適な設備を選択することが重要になります。
以下は当社が実際に導入(自社工場にて実施)して抜群の効果があった、工場の本格的な熱中症対策です。(当社にて施工いたします!お問い合わせください。)
対策の分類 |
ソリューション名/製品名 |
概要・特徴 |
主な導入メリット・効果 |
当社の主力商材 【効率化対策】既存設備の省エネ対策に有効 |
Miラクルコイル(ミラクルコイル) |
既存の空調機の熱交換器に組み込む特殊コイル。少ないエネルギーで熱交換効率を向上させ、冷房能力を強化する。 |
・CO2と消費電力を10%~30%削減 ・設定温度を上げても快適性を維持し、省エネに貢献 ・既存設備を活かした低コストでの効率改善 |
ENEDUCE(エネデュース) |
コンプレッサー内部の摩耗を修復する空調電力低減システム。冷却効率を回復させ、稼働時間を短縮する。 |
・消費電力を大幅に削減 ・メーカーや型式を問わず導入可能 ・簡単な施工でエアコンの性能を回復 |
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えこきーぱー |
工場内の設備や温熱機器に直接取り付ける、繰り返し使用可能な断熱ジャケット。熱源からの輻射熱を抑える。 |
・熱源周辺の温度を下げ、火傷や熱中症のリスクを低減 ・室内の全体的な温度上昇抑制に貢献 ・保温厚が少なくても高い断熱効果を発揮 |
|
【空間対策】広大な空間の熱・汚染物質を排出 |
大規模換気システム(工場用大型換気扇) |
広大な工場内にこもる熱気、臭気、ヒューム、粉塵などを強制換気で効率的に外部へ排出。空気の流れを創出し、空気の淀みを解消する。 |
・温度、湿度、有害物質濃度を低下させ、作業環境を劇的に改善 ・従業員の集中力を高め、生産性向上とエラー率低減に貢献 ・空気の入れ替えによる感染症対策 |
【根本対策】建屋からの熱侵入を遮断 |
高機能遮熱塗料「クールサーム」 |
NASA開発の特殊セラミックを応用。熱を「反射」「放散」「断熱」するトリプル効果で、屋根や外壁からの輻射熱を強力にシャットアウトする。 |
・工場全体の根本的な温度上昇を抑制 ・空調効率が向上し、電気代を大幅に削減 ・10年以上の耐久性で長期的なコストを削減 |
各詳細は以下後述します。
【工場の熱中症対策の主要商材・導入事例の詳細】:堀口エンジニアリングの事例
当社では、工場の熱中症対策の主要商材として以下を強く推奨しております。
- Miラクルコイル(ミラクルコイル)
- ENEDUCE(エネデュース)
- えこきーぱー
- 大規模換気システム(工場用大型換気扇)
以下詳しく解説します。
Miラクルコイル(ミラクルコイル):CO2・消費電力を10%~30%削減
「Miラクルコイル」(イー・ティー・エー株式会社)は、冷凍機や空調機の省エネ装置で、既存設備の液配管に取り付けるだけで、CO2・消費電力を10%~30%削減することが可能です。
コンデンサーは、熱交換を通じて冷媒ガスから熱を取り除き、冷媒が凝縮・液化しますが、液化しきれず冷媒ガスが残ってしまうことがあります。
Miラクルコイルをコンデンサー(凝縮器)後の液配管に設置すると、冷媒が遠心力により気液混相状態から気液二層状態になり、外側に集まった液層部から効率よく放熱することができます。
冷媒の液化効率が上がり、冷凍能力が向上することで、コンプレッサーの稼働時間が短縮され、エネルギー効率が向上します。
Miラクルコイルの設置には、電気工事などは一切不要で、メンテナンスも必要ありません。
ENEDUCE(エネデュース):エアコンの性能を回復
「ENEDUCE」(株式会社エコテック)は、空調電力低減システムで、エアコンの性能を回復させるための画期的な製品です。
ENEDUCEは、国産自動車ディーラー等で採用されている金属表面修復技術を活用しています。
この技術は、「鉄が鉄を補修する」画期的なテクノロジーで、エアコンのコンプレッサー内部の金属面の傷や摩耗を補修します。
コンプレッサー内部の部品が摩耗しクリアランスが広くなると、100%の冷却能力が発揮できなくなります。
そのため、冷却のためのコンプレッサーの稼働時間が長くなり、消費電力が増えてしまいます。
ENEDUCEを使用して内部部品の傷や摩耗を修復して冷却効率を回復させることで、コンプレッサーの稼働時間が短くなり、消費電力の削減につなげます。
ENEDUCEの導入は非常に簡単です。大規模な修理や分解をすることなく、専用の注入器でエネデュース液を冷媒の注入ポートから入れるだけで施工完了となります。
当社では、エアコンのメーカーや型に関わらず、1台からENEDUCEの施工を承っています。
また、施設全体に導入した場合など、年間の消費電力の削減効果を予測し、ご提案いたします。
えこきーぱー:高熱を発する装置や機器類による火傷や熱中症の対策・室内の温度低下
「えこきーぱー」(有限会社アール・シーウメハラ)は、工場内の設備や温熱機器に繰り返し使用できる断熱ジャケットです。
雰囲気温度の上昇に影響を及ぼす輻射熱を抑えるため、保温厚が少なくても絶大な効果を発揮します。
本商品は、バルブやフランジ、熱交換器、射出成形機、乾燥炉・連続炉・溶解炉などの温熱機器に対応しています。
えこきーぱーは、輻射熱をカットし放熱を抑えることで、必要以上に消費していた電気・ガス・重油などを削減できます。
また、高熱を発する装置や機器類による火傷や熱中症の対策になるだけでなく、室内の温度が低下することで快適な作業環境につながります。
施工は、解体・再施工しなければならない従来の方式とは違い、取り付け・取り外しが容易にできるため、バルブ・機器類の点検時に大変便利です。
さらに、えこきーぱーは、各種温度帯に合わせた特殊加工ガラスシートを使用しており、防音・遮音の効果も期待できます。
安全で耐久力のある素材で、アスベストは未使用です。
大規模換気システム(工場用大型換気扇):広大な空間を快適化:大規模換気・局所冷房で生産性と安全を確保
広大な工場空間では、全体を均一に冷却するのは非常に困難であり、非効率的です。
熱気や臭気、溶接ヒューム、粉塵などが滞留しやすく、これらが作業者の健康被害や生産性低下の大きな要因となります。
こうした状況に対して当社が提供するのは、工場の局所冷房の導入事例として多くの企業から注目される、大規模空間に特化した換気システムと、特定の作業エリアをピンポイントで快適にするソリューションです。
特に、溶接作業場のように発熱量が多く汚染物質が発生しやすい場所では、大型換気扇がその真価を発揮します。
この大型換気扇は、工場内にこもる 、
- 熱気
- 不快な臭気
- 排煙
- 微細な粉塵
などを強力な強制換気によって効率的に外部へと排出します。
熱や粉塵が滞留しやすい工場の隅々や、熱気や煙が上部に溜まる傾向を考慮し、当社独自の経験に基づき、工場北側の上段に3台、下段に3台といった最適な配置を徹底しました。
これにより、空気の淀みを解消し、工場全体に快適な空気の"流れ"を生み出しています。
大規模換気・局所冷房の導入がもたらす革新的な変化
- 作業環境の劇的な改善: 温度と湿度の低下はもちろん、有害物質の排出により、作業者の呼吸器系への負担を軽減し、健康と安全を確実に守ります。
- 生産性の向上とエラー率の低減: 「常に風が通り、熱気がこもらない」快適な環境は、従業員の集中力を高め、作業ミスを減らし、生産効率の改善に直結します。
- 感染症対策への貢献: 強制的な空気の入れ替えは、空気中のウイルスや細菌の濃度を下げ、感染症の蔓延防止にも効果的です。
- 工場の大型扇風機導入費用を凌駕する価値: 投資を大きく上回る従業員満足度と生産性向上を実現し、企業の競争力強化に貢献します。
実際に導入後、継続的に計測したところ、工場内の温度・湿度ともに顕著な低下が確認されました。
社員からは「工場全体に熱がこもっている感じがなく、常に風が感じられるので作業しやすくなった」という具体的な声が上がっており、その効果の高さは、経験に基づいたデータと現場のリアルな声が裏付けています。
当社の導入事例:クールサーム:工場への熱侵入を根本から遮断:高機能遮熱塗装で冷房負荷を劇的に削減
工場の暑さの最大の要因の一つが、屋根や外壁から伝わる「輻射熱」です。
太陽光を吸収した建材が熱を蓄え、それが内部に伝わることで、工場全体の室温を上昇させ、冷房装置に過度な負担を強いるのです。
この根本的な問題に対処しなければ、どれだけ冷房機器を導入しても、エネルギーコストは上昇し続けるでしょう。
当社では、この輻射熱対策として、NASAが開発した特殊セラミックを応用した高機能遮熱塗料「クールサーム」を工場の外壁に塗布しています。
この革新的な塗料は、熱を吸収するのではなく、その大部分を「反射」「放散」「断熱」というトリプル効果で外部へと跳ね返します。
これにより、外部からの熱の伝達を強力にシャットアウトし、工場内部への熱の透過を劇的に防ぐのです。
「クールサーム」導入がもたらす具体的メリット
- 抜本的な工場の熱源対策: 建屋自体が熱を帯びにくくなるため、工場全体の温度上昇を抑制します。
- 空調効率の劇的な向上と省エネ効果: エアコンや冷房設備の稼働時間を減らし、電気代の大幅な削減に貢献します。これは、実質的な工場の暑さ対策の費用対効果の向上に直結します。
- 長期的なコスト削減: 10年以上の耐久性を誇るため、塗り替え頻度が少なく、メンテナンスコストを大幅に抑えることが可能です。まさに、工場屋根の遮熱塗料の効果の真価が発揮されます。
実際に、当社の工場に導入した際には、データで明確に裏付けられた温度低下はもちろんのこと、塗布した壁とそうでない壁では、触れた際の温度差が歴然としていました。
現場の社員からも「エアコンの効きが格段に良くなった」「以前のムッとした暑さが和らいだ」といった、肌で感じる効果への喜びの声が多数寄せられています。
工場作業者向けの熱中症ゼロへの当社の取り組み:福利厚生の一環として
当社では福利厚生の一環として無料の飲料自動販売機「DAKARA給水所」を工場に導入しています。 (熱中症予防のための適切な水分補給のため)
物理的な暑さ対策に加え、従業員の健康と安全を確保することは、企業としての社会的責任であり、持続可能な生産活動の根幹を成すと考えております。
専用カードをタッチするだけで、水、麦茶、スポーツドリンクといった熱中症対策に有効な飲料を、従業員がいつでも手軽に摂取できる環境を整備しました。
この取り組みがもたらす多角的効果
- 従業員の健康と満足度向上: 「いつでも冷たい飲み物が飲める」環境は、従業員の熱中症リスクを大幅に低減し、福利厚生の充実と会社へのエンゲージメントを高めます。
- 効率的な安全管理と工場の熱中症対策の義務化対応: 会社側で飲料の手配や補充を行う手間が省けるだけでなく、従業員の水分補給状況をデータで一元的に把握できるため、よりきめ細やかな安全管理と、熱中症対策の義務化への確実な対応が可能になります。
このような取り組みは、物理的な設備投資だけでは補えない、働く人の視点に立った総合的な職場環境改善の一環として、当社の目指す「安全で快適な職場づくり」を具現化しているものと言えます。
現場レベルで可能な工場勤務の熱中症対策の工夫と従業員教育:厚生労働省推奨
設備投資と並行して、日々の現場レベルでの熱中症予防の管理を徹底することも極めて重要です。
熱中症対策における運用管理の徹底事項
管理の分類 |
具体的な対策内容と重要なポイント |
作業管理の徹底 |
・WBGT値に応じた休憩サイクルの確立(例:WBGT値28℃以上で45分作業・15分休憩)。 ・作業スケジュールの見直し(気温が高くなる午後の時間帯の作業を避けるなど)。 ・暑熱順化期間の設定(梅雨明けなど、身体が暑さに慣れていない時期は作業負荷を軽減する)。 |
健康管理と教育 |
・朝礼での健康状態チェック(睡眠不足や飲酒の有無など、相互に確認する)。 ・空調服や冷却グッズの支給・推奨。 ・水分・塩分補給の義務化(「のどが渇く前」に定期的に補給するルールを徹底)。 ・熱中症の危険性と応急処置に関する定期的な教育研修の実施。 |
現場のリアルな声への配慮 |
・ベテラン従業員の過信への対策:「自分は大丈夫」という思い込みは危険。WBGT値などの客観的指標に基づいた管理を徹底する。 ・外国人労働者への配慮:言語や文化の違いを考慮し、イラストや多言語表記を用いて危険性や対策を分かりやすく周知する。 |
参照:
【コスト負担を軽減】工場の熱中症対策に使える補助金・助成金一覧:2025年版
設備投資の負担を軽減するため、国や自治体は様々な支援制度を用意しています。
これらを活用しない手はありません。
補助金・助成金名 |
主な対象 |
補助対象の例 |
補助率・上限額(例) |
エイジフレンドリー補助金 |
60歳以上の高年齢労働者を雇用する中小企業 |
スポットクーラー、空調服、WBGT測定器、休憩所の整備 |
補助率1/2、上限100万円 |
業務改善助成金 |
生産性向上と賃上げを行う中小企業 |
エアコン付き休憩所の設置、各種空調設備、遮熱施工 |
補助率最大9/10、上限最大600万円 |
省エネルギー投資促進支援事業 |
省エネ設備を導入する事業者 |
高効率な空調設備への更新など |
補助率最大1/2など(事業類型による) |
注意点: 補助金は予算に達し次第終了となる場合が多く、申請期間も限られています。「自社が使える補助金があるか」を早めに確認し、計画的に準備を進めることが成功のカギです。
工場の熱中症対策の義務化に関連してよくある質問・Q&A
工場の経営者や管理者、そして現場で働く従業員の皆様から寄せられる、熱中症対策に関するよくあるご質問にお答えします。
工場の暑熱対策には、具体的にどんな方法がありますか?(工場内の温度を効率的に下げる方法)
工場の暑熱対策は、大きく分けて3つのアプローチがあります。
【建物全体への対策:当社の事例で紹介済み】
- 遮熱・断熱: 屋根や外壁に高機能な遮熱塗料を塗布し、太陽光による熱の侵入を根本から防ぎます。
- 換気: 大型換気扇やシーリングファンで工場全体の空気を動かし、熱気や湿気を排出します。
【作業エリアへの対策】
- 局所冷房: スポットクーラーや気化式冷風機で、作業者がいる場所をピンポイントで冷却します。
- 排熱: 機械など熱源の近くに排気フードを設置し、熱が広がる前に屋外へ排出します。
【人への直接的な対策】
- 個人用装備: 空調服(ファン付きウェア)や冷却グッズを支給します。
- 健康・労務管理: WBGT値(暑さ指数)に基づいた休憩の徹底や、水分・塩分補給の義務化が挙げられます。
これらの対策を複合的に組み合わせることで、より高い効果が期待できます。
工場勤務で使える効果的な熱中症対策グッズは何ですか?
近年、高機能な対策グッズが多数開発されています。
代表的なものは以下の通りです。
- 空調服(ファン付きウェア): 衣服内の空気を循環させ、汗の気化を促進して体を冷やす、夏の現場の定番アイテムです。
- ネッククーラー: 首の動脈を直接冷やすことで、効率的に体温上昇を抑制します。電動ペルチェ式や保冷剤式など種類も豊富。
- 冷却ベスト: 水に濡らして気化熱を利用するタイプや、保冷剤を挿入するタイプがあり、上半身を広範囲に冷やせます。
- ヘルメット内送風機: ヘルメット内部の蒸れを解消し、頭部を涼しく保つことで、のぼせや集中力低下を防ぎます。
- 経口補水液・塩分補給タブレット: 汗で失われる水分と塩分(電解質)を効率的に補給するために不可欠なアイテムです。
機械・器材からの排熱がひどいのですが、何か良い対策はありますか?
機械など特定の熱源からの放熱は、工場全体の温度を上げる大きな原因です。
以下の局所的な対策が非常に有効です。
- 局所排気装置(排気フード): 熱源を直接覆うようにフードを設置し、発生した熱が周囲に広がる前にダクトを通じて屋外へ排出します。
- 断熱ジャケット(カバー): 「えこきーぱー(当社で取り扱いしております。お問い合わせください。)」のような、熱を発する機械や配管に直接取り付ける着脱式の断熱材です。輻射熱を抑え、作業者の火傷防止にもつながります。
- スポット空調: 熱源の近くで作業する人に向けて、ピンポイントで冷風を送るスポットクーラーの設置も効果的です。
現場仕事で熱中症にならないためには、何を徹底すべきですか?
重大な事故を防ぐには、個人の意識と会社の管理体制の両方が不可欠です。
まず個人では、「のどが渇く前」に水分と塩分をこまめに補給することを徹底してください。
また、睡眠不足や二日酔いは熱中症のリスクを格段に高めるため、日頃の体調管理が非常に重要です。
会社側としては、客観的なWBGT値(暑さ指数)に基づいて休憩時間を義務化し、誰でもためらわずに休める環境を整える必要があります。
「自分は大丈夫」という過信が最も危険だということを、研修などを通じて全従業員で共有することが求められます。
食品工場ならではの汗対策で、気をつけるべき点はありますか?
食品工場では、衛生管理の観点から汗が製品に落下・混入することを絶対に防がなくてはなりません。
そのため、吸汗速乾性に優れたインナーウェアの着用はもちろん、額からの汗を止めるヘッドキャップやリストバンドの活用が推奨されます。
ただし、これらは対症療法に過ぎません。
根本対策として、空調設備や換気システムを適切に整備し、従業員が過度に汗をかかない室温・湿度環境を維持することが、品質管理と労働安全衛生の両面から極めて重要です。
工場内の換気をしないと、どういった危険がありますか?
工場内の換気が不十分だと、熱中症リスクの増大はもちろん、以下のような様々な危険が発生します。
- 有害物質の滞留: 溶接ヒュームや有機溶剤の蒸気、粉塵などが滞留し、深刻な健康被害を引き起こす恐れ。
- 酸素欠乏: 閉め切った空間で燃焼機器を使用した場合など、酸素濃度が低下し、窒息や意識障害のリスク。
- 臭気や湿気による不快感: 作業環境の悪化は、従業員のモチベーションや集中力の低下に直結。
- 結露によるカビやサビの発生: 湿気が滞留すると、製品の品質低下や設備の劣化につながります。
適切な換気は、安全・衛生・品質のすべてを支える生命線と言えるでしょう。
そもそも熱中症とはなんですか?原因・症状について教えて下さい。
熱中症とは、体の冷却システムが、過酷な外部環境(高温・多湿)と内部の資源不足(水分・塩分)によって限界を迎え、正常に機能しなくなった状態です。
原因:体の冷却システムのパンク
- 環境: 高温多湿により汗が蒸発しにくくなり、体からの熱の放出(気化熱)が妨げられます。
- 身体: 大量の発汗で、体温調節に不可欠な水分と、体の機能を維持する塩分(電解質)が失われることで、システム全体が機能不全に陥ります。
症状:危険レベル別SOSサイン
熱中症のサインは、軽いものから命に関わるものまで段階的に現れます。
- レベルⅠ【軽症】(現場での応急処置が必要)
- めまい、立ちくらみ、筋肉のけいれん(こむら返り)。
- レベルⅡ【中等症】(病院への搬送が必要)
- 頭痛、吐き気、体が異常にだるい(倦怠感)。
- レベルⅢ【重症】(命の危険があり、救急車が必須)
- 意識がない、けいれん、体温が異常に高い。
詳しくは以下の厚生労働省のガイドラインをご参照ください。
工場の暑さの原因はそもそも何でしょうか?
工場の暑さの原因は、単なる気温の高さだけでは説明できません。
工場では複数の熱源が絡み合い、独特の「蒸し風呂」のような環境を生み出しています。
- 建物自体が巨大な鉄板になる「屋根・壁からの輻射熱」
太陽光を浴びた屋根や外壁は、熱を内部に放射する巨大なホットプレートと化します。この見えない熱線が、じりじりと容赦なく室温を押し上げ、工場全体をオーブンのように暖め続けます。 - 工場自身が熱を生み出す「機械からの排熱」
モーターや加工機、コンプレッサーなど、工場内のあらゆる設備は稼働とともに熱を発します。これらの無数の「小さなストーブ」が24時間熱を放出し続けるため、人のいない夜間でさえ工場は冷え切りません。 - 熱気が逃げ場を失う「滞留する空気」
広大で天井の高い構造は、暖められた空気が上部にたまる「熱の吹きだまり」を作り出します。窓が少ない、あるいは換気能力が低い工場では、この熱気が逃げ場を失い、ドームのように工場全体を覆ってしまいます。 - 不快指数を倍増させる「湿気と蒸気」
生産工程で発生する蒸気や、換気不足による高い湿度は、汗の蒸発を妨げ、体の冷却機能を奪います。気温以上に「まとわりつくような暑さ」を感じさせる最大の要因であり、熱中症リスクを著しく高めます。
当社の工場の熱中症対策の導入事例・提供サービスについてのよくある質問・Q&A
「結局、全部やるといくら掛かるんですか?記事には良いことばかり書いてあるけど、中小企業には高すぎて手が出ないんじゃないですか?」
「ご予算についてのご懸念、ごもっともでございます。費用は工場の規模や現状、そしてどの対策を導入されるかによって大きく変動いたします。
当社では、まずはお客様の工場に伺い、無料で現場の温熱環境診断を実施させていただいております。その診断結果とご予算に基づき、最も費用対効果の高い対策から優先順位をつけ、段階的に導入するプランをご提案することも可能です。すべてを一度に行う必要はございませんので、ご安心ください。
まずは貴社の課題を正確に把握することから始めさせていただければと存じます。」
「クールサームの温度低下データ、一番効果が出やすい『夏の晴れた2週間』だけを比較していますよね?都合の良いデータだけ見せられても信用できません。曇りの日や冬はどうなのでしょうか?」
「非常に鋭いご指摘、ありがとうございます。おっしゃる通り、グラフは遮熱効果が最も分かりやすい条件で比較しております。
クールサームの最大の特長は太陽光の『反射』ですので、快晴時に最も効果を発揮するのは事実です。
しかし、この塗料は高い『断熱』性能も併せ持っております。
そのため、曇りの日でも外気温が屋根を通して内部に伝わるのを抑制し、室温の上昇を穏やかにする効果がございます。
結果として年間を通じた空調負荷の低減に繋がり、光熱費の削減に貢献できる点が大きなメリットです。」
「大掛かりな設備投資より、スポットクーラーをたくさん購入し作業員の近くに置く方が、手っ取り早くて安上がりではないでしょうか?」
「スポットクーラーの増設は、手軽で即効性のある対策として確かに有効な一面がございます。
しかし、スポットクーラーは局所を冷やす一方で、機器から排出される熱風によって周辺や工場全体の室温をかえって上昇させてしまうという課題もございます。
私たちがご提案しているのは、工場全体の温熱環境を『根本から』改善し、働く方全員が快適で安全な空間を実現することです。
これにより、工場全体の生産性向上や省エネに繋がり、長期的に見れば投資以上の価値が生まれると考えております。」
「2025年の義務化対応と言っても、結局はWBGT測定器を設置して記録しておけば、罰則は免れるのでは?最低限のコストで済ませたいのですが。」
「法改正へのご対応として、WBGT値の測定と記録は確かに重要な第一歩です。
しかし、今回の法改正で求められているのは、測定だけでなく『WBGT値が基準を超えた場合に、休憩時間の確保や作業中止といった具体的な措置を講じる体制の整備と周知』まで含まれております。
万が一、対策を怠って労働災害が発生した場合、企業の安全配慮義務違反が問われ、罰金だけでなく高額な損害賠償に繋がるリスクもございます。
これは単なる義務ではなく、従業員の命と会社の信用を守るための重要な経営課題と捉え、根本的な環境改善をご検討いただくことをお勧めしております。」
「工事中は工場の稼働を止めなければならないのでしょうか?生産計画に影響が出るのは絶対に避けたいのですが。」
「生産計画へのご影響、最も懸念される点かと存じます。ご安心ください。
当社では、お客様の生産への影響を最小限に抑える施工計画を最優先でご提案いたします。例えば、工場の休業日である土日や連休、夜間などを活用した施工が可能です。
また、広い工場の場合はエリアを区切って段階的に作業を進めるなど、柔軟に対応させていただきます。
施工前に綿密な打ち合わせをさせていただきますので、まずはご要望をお聞かせください。」
「他社にもっと安い遮熱塗料がありますが、『クールサーム』は、具体的に何が違うのですか?ブランド料で高いだけでは?」
「価格に関するご質問、ありがとうございます。
クールサームが他の塗料と一線を画すのは、熱を『反射』するだけでなく、『放散』『断熱』するという3つの効果を併せ持つ点です。このトリプル効果により、一般的な遮熱塗料よりも高いレベルで熱の侵入を防ぎます。
また、10年以上の耐久性を誇るため、塗り替えの頻度が少なく、長期的な視点で見るとメンテナンスコストを含めたトータルコストを抑えることができます。
初期投資だけでなく、長期的な価値でご判断いただければ幸いです。」
「MiラクルコイルやENEDUCEのような後付けの製品は、既存のエアコンに負荷をかけたり、故障の原因になったりしませんか?メーカー保証が効かなくなるのも心配です。」
「既存設備への影響、ご心配になるのは当然のことと存じます。
MiラクルコイルもENEDUCEも、エアコンの基本構造に悪影響を与えるものではございません。
むしろ、コンプレッサーの負荷を軽減し、効率を上げることで、機器の寿命を延ばす効果も期待できます。
施工実績も豊富で、これまで製品が原因でメーカー保証の問題に発展したケースはございませんのでご安心ください。
導入前に、既存設備の状況をしっかり確認した上で、最適なご提案をさせていただきます。」
「大規模換気扇を設置しても、結局は外の熱い空気を取り込むだけじゃないですか?ただ空気が動くだけで、涼しくなるとは思えません。」
「ご指摘の通り、換気は外気を取り込むため、外気温以上に涼しくなるわけではございません。
このシステムの真の目的は、工場内にこもった熱気や湿気、有害なヒュームや粉塵を『強力に排出』し、空気のよどみをなくすことです。
空気の流れが生まれることで、体感温度が下がり、汗の気化が促進されるため、数字上の温度以上に快適性を感じていただけます。
これにより、熱中症リスクの低減だけでなく、従業員の集中力向上や生産性改善にも繋がります。」
「『DAKARA給水所』は魅力的ですが、結局は飲料メーカーのサービスですよね。自社で麦茶でも用意すれば済む話ではないですか?」
「はい、確かに自社で飲料をご用意することも一つの方法です。
DAKARA給水所を導入するメリットは、単に水分補給ができる点だけではございません。
従業員様が専用カードで利用状況を記録できるため、会社として『誰が・いつ・どれくらい水分補給しているか』をデータで把握し、よりきめ細やかな安全管理が可能になる点です。
これは、熱中症対策の義務化に対する『具体的な措置を講じている』という明確な証拠にもなります。
福利厚生の充実が従業員の満足度やエンゲージメント向上に繋がるという副次的な効果も期待できます。」
「補助金が使えると書いてありますが、申請手続きが複雑で面倒くさそうです。結局、自社でやらないといけないなら、手間がかかりすぎて割に合わないのでは?」
「補助金の申請手続きは、確かに煩雑に感じられるかもしれません。ご安心ください。
当社では、どの補助金がお客様のケースに適用可能かといったご相談から、申請に必要な見積書や技術資料の作成まで、全面的にサポートさせていただきます。
お客様の手間を可能な限り軽減し、採択の可能性が高まるようお手伝いいたしますので、諦める前にぜひ一度ご相談いただければと存じます。」
「うちの工場は食品工場なので、塗料の臭いや工事の粉塵が製品に影響しないか心配です。」
「食品工場ならではのご懸念、重々承知しております。
クールサームは安全性の高い水性塗料であり、溶剤系の塗料に比べて臭いは非常に少ないです。
また、施工にあたっては、養生を徹底し、製品への影響がないよう細心の注意を払います。
空調を管理しながら作業エリアを区切り、生産ラインに影響が出ない計画をご提案いたしますので、ご安心ください。これまでにも多くの食品工場様での実績がございます。」
「『えこきーぱー』のような断熱ジャケットは、熱源にカバーをすることで、逆に機械内部に熱がこもってしまい、故障や性能低下に繋がりませんか?」
「機械内部への熱ごもりをご心配されるお気持ち、よく分かります。
『えこきーぱー』は、機械の性能を維持するために放熱が必要な部分を避け、配管やバルブなど、主に『断熱すべき箇所』に設置するよう設計されています。
導入前には、対象となる機器の仕様や熱の発生状況をしっかり調査し、機器の安全性や性能に影響が出ない最適な施工方法をご提案しますので、ご安心ください。
主な目的は、周囲への輻射熱をカットし、作業環境の改善と火傷リスクを低減することにあります。」
「現場のベテラン従業員は『昔からこの暑さでやってきた。自分は大丈夫だ』と言って、対策を軽視しがちです。設備を導入しても、本人たちが意識してくれなければ意味がないのでは?」
「おっしゃる通り、従業員様一人ひとりの意識は非常に重要です。
だからこそ、当社は単なる設備導入だけでなく、対策の重要性を現場の皆様にご理解いただくためのサポートも重視しております。
例えば、導入時にWBGT値の客観的なデータを示しながら、体感だけでなく数値に基づいた管理の必要性をご説明したり、熱中症の危険性に関する勉強会開催のお手伝いをすることも可能です。
『自分は大丈夫』という過信が最も危険であるということを、会社全体で共有する文化づくりを、設備面から後押しさせていただければと考えております。」
「これだけの対策を提案するということは、御社の自社工場(成田工場)は、さぞかし完璧な対策をされているのでしょうね?」
「ありがとうございます。おっしゃる通り、当社ではご紹介している対策を自社の成田工場で実際に導入し、その効果を日々検証しております。
自らが『実験台』となり、本当に効果があり、自信を持ってお勧めできるものだけをお客様にご提案しております。
データとしてお見せした温度変化はもちろん、現場で働く社員からも『作業環境が劇的に改善した』という声が多数上がっております。
ご希望でしたら、工場の見学も可能ですので、ぜひ実際の効果をご自身の目で確かめていただければ幸いです。」
「結局、この提案は『不安を煽って高額な商品を売る』ためのセールストークに聞こえます。本当にそこまでリスクがあるのでしょうか?」
「そのように感じさせてしまいましたら、大変申し訳ございません。
私たちの目的は、決して不安を煽ることではなく、実際に増加傾向にある職場での熱中症災害という『経営リスク』と、法改正という『明確な変化』に対して、お客様が備えるためのお手伝いをすることです。
従業員が一人倒れることのインパクトは、生産停止や信用の失墜、そして何よりかけがえのない命の喪失という計り知れないものです。
私たちは、そのリスクを未然に防ぎ、貴社が『安全で快適、かつ高生産性を実現する稼げる工場』へと発展するためのお手伝いを、誠心誠意させていただきたいと考えております。」