2023.12.11

バンバリーミキサーの「メンテナンス」と「特殊仕様の改造」について

バンバリーミキサーは、以前紹介したニーダーと同様に、ゴムやプラスチック、セラミックスなどの原材料に配合剤を加えて練り合わせる混錬機で、主に、化学・食品・樹脂・機械の生産プラントで使用される装置です。
ニーダーとの違いは、高圧で練り上げるため、分散が困難な原材料・配合剤を均一に混合して生産ができる点です。
高圧で練り上げるバンバリーミキサーは、「すり合わせ」という作業が必要になるため、メンテナンスができる会社が限られていますが、当社では、20年間ほど、年に数台コンスタントに整備を手掛けています。
今回は、バンバリーミキサーのメンテナンスについて紹介します。

バンバリーミキサーの特徴

バンバリーミキサーの特徴を紹介します。
・一度に大量の原材料を高速で混練りできるため、大量生産に適している
・高出力で高速回転が可能となり分散性がいい
・密閉型であるため、粉末の飛散が少ない

一方で、高圧・高出力で生産するために、以下のような問題もあります。
・大量の原材料を高速で混練することで、発熱が多く分散力が低下する可能性がある
・密閉型の装置のため、装置内の残留物の除去が困難であり機掃性が悪い

高圧で練り上げることで機械にかかる負荷が大きくなり、突発的な故障を引き起こす可能性が高くなります。そのような事態を防ぐために、定期的な点検と整備が重要です。

バンバリーミキサーのメンテナンス内容

当社では、バンバリーミキサー本体をお客様の工場から持ち出し、自社工場で分解、点検、修理を行います。主な作業内容を紹介します。

・消耗品の交換(ベアリング・オイルシール)
・ロータリーアクチュエーター・ラックアンドピニオンの整備(排出方式;スイング式の場合)
・サイドコッター及びアンダーコッターの製作・交換(排出方式;スライド式の場合)
・ダストストップリングの製作・交換
・ウェアリングの製作・交換
・組み立て、排出ドアとミキサーボディのすり合わせ、調整

※肉盛補修が不可能な部品に関しては、すべて新規製作で対応しています

耐磨耗材の肉盛・硬質クロムメッキ加工一覧

・ミキサーボディ内面の肉盛補修  
・メタルボディのウェート摺動面及び接粉部の肉盛補修  
・ローター(羽先)の補修
・排出ドア(ドアトップ)の補修
・ウェート(全面)の補修

ローター補修ローター補修

<特殊仕様として>

①    ミキサーボディの改造
摩耗しやすい内径面の修理には、ライナー方式への改造を提案しています。
ライナー方式とは、内径面をオーバーサイズに加工後、硬化肉盛をしたライナーを圧入して、溶接にて取り付けるものです。

②    メタルボディの改造
磨耗しやすいウェート摺動面、接粉部には、ライナー方式の改造を提案しています。
摺動面、接粉部を削り込んで、硬化肉盛及び硬化熱処理を行ったライナーを取り付けます。
ライナー方式に改造することにより、本体のダメージを減らし、工期とコストを削減することが可能となります。

バンバリーミキサーのメンテナンス事例

バンバリーミキサーのメンテナンスについて、現地工事を行った例を紹介します。
2020年、電線の被覆材の原料などを製造しているメーカー様のバンバリーミキサーについて、現地でメンテナンスを行いました。
容量240ℓ、本体重量約15トンのバンバリーミキサーで、主な作業内容は、ドロップドアと減速機の点検・整備、カップリング製作・交換です。
分解・点検中に、減速機のギアの歯面が経年劣化により破砕していることを発見し、応急処置の方法を提案するとともに、現品スケッチを行って復旧。
翌年、スケッチを元にギアを新規製作し、入れ替え作業を行いました。
詳細は下記URLよりご覧ください。

メーカーが事業撤退したバンバリーミキサーのメンテナンス

バンバリーミキサーの部品は、製造中止になっていたり、新品の提供のみで整備は行わないメーカーもあり、部品の破損及びメンテナンスに苦労されているお客様が多く見受けられます。当社では、手に入らない部品の場合は、現品を見本として新規製作を行います。

NUC様減速機の中

まとめ

当社では、定期的なメンテナンスから、故障による突発修理まで対応をしています。また、表面改質により耐食・耐摩耗性向上、改造による整備費用の低減・工期の短縮を実現した改造施工事例の実績が多数ありますので、ぜひお問い合わせください。